戸籍のフリガナ制度とは?目的・影響・今後の流れをわかりやすく解説

生活

戸籍法改正で「氏名のフリガナ」が新たに追加

令和5年6月2日、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律(令和5年法律第48号)」が成立し、同月9日に公布されました。

この中には「戸籍法」の一部改正も含まれており、氏名にフリガナ(振り仮名)を付すことが新たに定められました。

これまでは戸籍上、漢字で氏名が記載されるだけで、読み方までは法的に記録されていませんでした。

しかし、読み方がわからないことで行政手続きやデータ管理上のトラブルが起きることがありました。

この問題を解消するため、令和7年(2025年)5月26日から施行され、戸籍に正式に氏名のフリガナが記載されるようになります。

なぜフリガナが必要になったのか?制度の目的

戸籍にフリガナを追加する背景には、次のような目的があります。

行政のデジタル化促進

マイナンバー制度や各種手続きのオンライン化が進む中で、漢字の読みを統一することが必要になりました。

これにより、データ連携の効率化が期待されています。

誤読・誤登録の防止

同じ漢字でも読み方が人によって異なる場合があります。

たとえば「翔(しょう・かける)」「悠(ゆう・はるか)」など。

これを防ぎ、正しい読みで本人確認ができるようにするのが目的です。

利便性の向上

官公庁や金融機関、学校などでの事務処理がスムーズになります。

「戸籍にフリガナがある=正式な読み」となることで、住民票や各種証明書にも反映されるようになります。

通知方法と手続きの流れ

施行後に、**市区町村から「戸籍への振り仮名記載についてのお知らせ(戸籍に記載される振り仮名の通知書)」のはがき**が届きます。

通知を受け取ったら、氏名の読みを確認します。

もし記載されているフリガナが誤っている場合には、正しいフリガナを届出する必要があります。

届出は主に以下の3つの方法が想定されています。

  • マイナポータルでのオンライン届出
  • 本籍地や所在地の市区町村の戸籍窓口での届出
  • 郵送による届出

「いつまでに出せばいいの?」期限と注意点

フリガナが誤っている場合の届出は、令和8年5月25日までに行う必要があります。

期限を過ぎても罰則はありませんが、令和8年5月26日以降には、通知書のはがきに記載されていたフリガナがそのまま戸籍に記載されます

通知のフリガナが正しいときは、届出の必要はありません。

また、よくある注意点については以下のようなものがあります。

.名前が「京子」などフリガナに小さい文字が入るけれど、通知書には「キヨウコ」と記載されている場合、「キョウコ」と届出をする必要がありますか?

.正しいフリガナは小さい「ャ」「ュ」「ョ」「ッ」であるにもかかわらず、通知に大きいカタカナで記載されている場合は、正しいフリガナで届出をしてください。

.フリガナの届出により、他の行政手続き(年金やパスポートなど)に影響はありますか?

.他の行政手続き(年金やパスポートなど)で登録しているフリガナと異なるフリガナで届出した場合は、年金受取口座の名義変更などの手続きが必要となります。詳しくは年金事務所等の各関係機関へ問合せください。

旧姓・通称使用への影響はある?

今回の改正で記載されるのは**あくまで「戸籍上の氏名」**のフリガナです。

そのため、職場などで旧姓や通称を使っている場合は、戸籍のフリガナとは関係ありません。

住民票やマイナンバーカードの「旧姓併記」制度もこれまで通り利用できます。

ただこの旧姓を併記している場合には、戸籍のフリガナに関するはがきに加えて、別途封筒にて「住民票に記載される旧氏の振り仮名に係る通知書」が届きます。

こちらについても、戸籍のフリガナに関する通知書と同じように、記載されたフリガナを確認し、もし誤っている場合には令和8年5月25日までに正しいフリガナの届出をしましょう。

旧氏のフリガナの届出については、郵送や市区町村の住民登録窓口で可能です。

郵送の場合に送付する「旧氏の振り仮名記載請求書」も、私の住む市区町村の場合は同封されていました。

制度のメリットと懸念点

<メリット>

  • 読み間違いによる行政手続きのミスが減る
  • オンライン申請やマイナンバー連携が円滑になる
  • 正式な氏名の読み方が公的に明確になる

<懸念点・問題点>

  • 誤記入や誤登録のリスク(特に難読名の場合)
  • データ管理上の漏洩リスクへの懸念
  • 通知はがきを見落として届出し損ねる可能性

制度の運用初期は、自治体によって対応スピードや方法が異なる可能性があるため、届いた通知をよく確認し、早めに対応するのが安心です。

まとめ:正しいフリガナでスムーズな行政手続きを

令和7年5月26日から始まっている戸籍のフリガナ制度は、行政のデジタル化を支える大きな一歩です。

「フリガナが合ってる?」「いつまでに届出?」と不安に思う方も多いかもしれませんが、届く通知や自治体の案内に沿って手続きすれば問題ありません。

今後は、住民票やマイナンバーカードにも統一したフリガナが記載され、より正確で効率的な手続きが可能になります。

日常生活への直接的な影響は少ないものの、**「自分の名前の読み方を正式に登録する」**という新しい制度として、確実に対応しておくことが大切です。

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